パノルモ・タイプ製作工程


表板と裏板、表板は一枚板です
通常は2枚接ぎ合わせで行います




ルの縁飾りと
それをはめ込むための表板の溝




私はこうして接着している
アイロンで焼き付ける場合もある



この後はみ出した分を削り
貝の飾りを象嵌する



サウンド・ホールの縁に入れる貝を切り出す
貝は白蝶貝を使用







こうして1個ずつ彫り込んで
象嵌していく
必要なのは根気だけ
この時に刃物がよく切れると
たいへん助かるのです




出来上がり
貝の切り出しから含め
ここまでに15時間程かかった
この後、貝を削り平にする

パノルモのオリジナルはこの縁飾りの雰囲気が
様々あり、それはおそらく
その楽器を担当した職人のそれぞれの
センスが現われているのだと思うが
明らかにルイ・パノルモが行ったかどうかは
判らないが、それらしいものがあり
それはやはり楽器の出来も良い

貝の菱形と方形の形状、大きさの
わずかの違い
それから配置する間隔で
雰囲気が大きく違ってくる

オリジナル パノルモ参照
Early Romantic Guitar
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補強材の位置を設定する
この画像は、鉛筆の線が見えやすいように
コントラストを強くしているので
板が汚れているように見えるが
実際はそんなことはない

弦長は635mm
これは典型的なパノルモ・タイプの配列
補強材の配列はスポーツ選手のユニフォームのようなもので
これでおよその音の方向が決まるが
これですべてが決まるわけではない
ユニフォームでスポーツの種類がわかるが
それを実際に行うということと関係はない

板の厚みはほぼこれで決定
タッピングの反応は体感する部分が多いので
お伝えできないのが残念だが
参考までにこの状態での板厚は中央部の
厚いところで3、5mm
1弦側の周りの薄いところは2、1mm
重さは133g

因みに裏板はローズウッドで
重さは214g
板厚は2、3〜中央部2、7




補強材をニカワで接着
このとき、補強材の厚みはほぼ決めておき
高さは想定した高さより大きめに切り出したものを接着しておく
その後、タッピングで反応を確かめながら削り込んでいく




表板、裏板に補強材が接着されました
ここからが勝負です

これから補強材を削り込んでいく際にタッピングの技術を駆使します
片手で板の端を持ち、もう一方の手でノックをするように
板をタッピングしていきます。指の腹、爪の腹、それから
中指の第二間接、私は主にこの三種類のやり方で行います

板の保持は、親指と人差し指でつまむ、手のひらで握る
手のひらと胴体ではさむ、などの方法を使います
板を保持する位置は上下の端、上部のふくらんだ左右の端
くびれた左右の端、それから下部のふくらんだ左右の端
この8箇所です

この後、側板に接着してから多少の修正は行うが
これでほぼ出来上がり
この状態で表板の重さは175g  裏板は242g




ヘッド材はメープル、ネック材はセドル




こうして接着した後、加工する




側板に接着した後
ブリッジ付近の補強材を少し削りました

これ以下の画像は別の製作時のものですが
工程は同じなのでそのままUPしておきます




響板の接着




指板の接着




パノルモ・タイプとモダン・タイプのパーツ

今回製作のモダン・タイプも
注文によりエンド・ピンとボディに一個のピンを付ける




パノルモ・タイプのオリジナルは
ブリッジとサドルは一体になっているが
弦高調整が厄介なので
私は写真をご覧のように黒檀のサドル・パーツ式にしている

穴の縁は、弦が切れないように面取りをする
一弦は特に切れやすいので
弦の端の結び留めも大きくしておく
これが小さいと、結び目から切れやすい




そして




完成




糸巻きのツマミも自作であります




エンド・ピンは象牙製







その他のパノルモ・タイプ

ラコート・タイプ製作工程

ラプレヴォット製作工程

初期ミルクール・タイプ製作工程


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